石油学会会長メッセージ

江口浩一

江口 浩一
(京都大学大学院 工学研究科 教授)


  このたび石油学会会長の大役を仰せつかることになりました。微力ではありますが学会発展のために努力する所存ですので, よろしくお願いいたします。

  エネルギーは私たちの活動や生活の重要な根幹をなすものであり,エネルギーミックスの中で石油が重要な位置を占め, 安定して供給されるエネルギーとして認識されていることは間違いありません。一方,水素や再生可能エネルギー, シェールガスなど新規なエネルギー媒体や資源についての話題性は石油に比べて高く,国内では石油の消費量も減少傾向にあります。 石油化学工業の原料としての石油も位置づけや利用形態が変化していくと考えられます。しかし,将来は再生可能エネルギーなどの 大規模導入が見込まれてはいるものの,導入シナリオやそれらの固有の不安定性への対応など,いまだ解決すべき問題も多いといえます。 かつて安定なエネルギーとしてCO2削減への大きな効果が期待された原子力の将来性でさえ,東日本大震災以降明らかではありません。 このようなほかのエネルギー資源に比べて石油は安定で信頼性の高いものです。

  また,海外に目を向けてみますと,不安定な世界情勢の中での石油の重要性や敏感な価格変動など経済へのインパクトを感じざるを えません。安定したエネルギー源や化学原料としての石油の地位は,特に資源に乏しい日本においては重要です。安定なエネルギー, 資源としての石油に目を常に向け,それを取り巻く環境を理解することが重要と考えられます。

  そのような環境の中,石油学会は石油や石油化学に関する専門家の集団として,石油に関する技術的,学術的な側面を扱い, 情報を提供・交換する場となっています。今後は石油だけにとどまらず多様化するエネルギーや化学工業原料を取り巻く環境を広い 視野で見つめ,その中の石油の位置づけを見極める必要があると考えます。

  そして,エネルギーや資源に乏しい日本においては,資源調達先の国々との多面的な関係構築が不可欠となるため, 石油を取り巻く情勢の理解を深めるとともに,産・官・学が連携して国際的な協力を進める必要があります。実際, 石油学会はそのような産油・産ガス国との人材交流や研究情報,技術情報交換のための交流の舞台を提供していますが, このような連携を促進することは相互の理解に寄与すると考えられます。

  将来にわたって石油を取り巻く問題の重要性を認識し続けるためには,若い世代に学会から石油に関する技術やそれを取り巻く環境に 関する情報を発信して,十分な理解と興味を持ってもらう必要があります。そのための育成と啓発などの活動も活発に行う必要が あると考えています。

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