平成27年度精製講演会 

日時 :2015年10月13日(火)
会場国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟501室
     (東京都渋谷区代々木神園町3-1)
交通 :小田急線「参宮橋駅」徒歩7分、東京メトロ千代田線「代々木公園駅」4番出口徒歩15分
 

プログラム

開会あいさつ(9:20〜9:30)

精製部会長[昭和シェル石油(株)] 若本 明

1.基調講演 石油産業の将来展望(9:30〜10:30)

経済産業省 資源エネルギー庁 資源燃料部 石油精製備蓄課長 赤松徹也 氏 

2.石油原料の多様化:低級オレフィン合成とゼオライトの触媒作用(10:30〜11:20)

東京工業大学大学院 総合理工学研究科 馬場俊秀 氏
 採掘技術の進歩に伴い、シェールオイル、シェールガスといったこれまで目を向けることのなかった化石資源が、利用可能になってきた。こうした石油化学資源を今まで以上に有効に利用することが求められている。例えば、シェールガスの主成分であるメタンを単に燃料として使うのでなく、有用な化学原料に直接変換することは重要な課題である。言うまでもなくメタンは最も不活性な炭化水素である。そのため合成ガス(COとH2)を経由せず、直接化学原料に変換するのはそう簡単ではない。こうした高難度反応であるという現実があるからこそ、メタンを直接に変換する技術 (メタン変換テクノロジー)を今のうちから開発し、こうした研究を通して技術力 (Power of Technology) を高めることが必須であると筆者らは考えている。
 本講演ではゼオライト触媒を用いたメタン活性化とエチレンとの反応によるプロピレン生成反応と共に、低級アルケンおよびアルカン転化反応による選択的プロピレン生成反応ついて講演する。

3.石油プラント等の予防保全分野におけるビッグデータ技術の活用(11:20〜12:10)

日本アイ・ビー・エム(株) スマーターシティ事業 浅野潤一郎 氏
 近年、国内の製油所、プラント等における設備老朽化、トラブル発生が大きな課題となっている。他方でIT分野での技術進展は著しく、最近ではIoT、Industry 4.0 がキーワードとして語られている。このようなIT技術の進展を背景に、プラント等の製造現場でのビッグデータ活用の検討や動きが目立つようになってきた。IBMでも、グローバルIT企業として、国内外においてプラント等におけるビッグデータ活用の取組みを進めている。本講演ではIBMの予防保全分野でのビッグデータ活用の取組みについてご紹介する。

休憩(12:10〜13:10)

4.基調講演 ペトロリオミクス技術開発 必然性と技術ブレークスルー(13:10〜14:00)

(一財)石油エネルギー技術センター 技術企画部 豊岡義行 氏
 ペトロリオミクス技術開発は現行の5ヵ年事業の最終年度に入っており、実用的な成果を生み出している。本講演では、科学史・技術史的な観点から、ペトロリオミクス技術開発は必然的なことであるとの立場での論考を試みる。また、現行の技術開発におけるブレークスルーポイントを抽出し、技術開発に共通する要素を考察する。

5.スラリー床水素化分解プロセスの現状とKobelco SPHプロセスについて(14:00〜14:50)

千代田化工建設(株) 石油・化学・新エネルギー設計ユニット 藤井重孝 氏
 イタリアで商業装置が稼働し、また中央アジア、中国、南米で商業装置の計画・建設が行われ近年脚光を浴び始めている、スラリー床水素化分解プロセスについて、そのプロセス構成、歴史、プロジェクト現況等について概説する。また、国内でも(株)神戸製鋼所・千代田化工建設(株)が共同開発している当該プロセスの「Kobelco SPH」プロセスについても概要、開発状況、及び今後を解説する。

休憩(14:50〜15:00)

6.水素社会の展望と新しい水素製造法(15:00〜15:50)

早稲田大学 理工学術院 先進理工学専攻 関根 泰 氏
 次世代の二次エネルギーとして水素が注目されている。一方で、水素は石油精製でも重要な役割を担ってきた。この水素をどうつくり、どう輸送・貯蔵し、どう使うか、今後の戦略と技術の方向性について、俯瞰・総括する。

7.省エネルギー蒸留システム SUPERHIDIC®(15:50〜16:40)

東洋エンジニアリング(株) エンジニアリング統括本部 プロセス設計部 若林敏祐 氏
 蒸留操作では、これまで多くの省エネルギー技術が提案されてきた。しかし、既存技術は可能なところには適用しきった感がある。蒸留理論の観点から最も優れた省エネルギー性を有するのは可逆蒸留操作であるが、これに酷似した挙動を有する SUPERHIDIC®が開発され、既に商業機受注を果たしている。本講演では、塔頂ガス再圧縮型ヒートポンプや自己熱再生型蒸留塔などと比較し、SUPERHIDIC®の優れた特性を紹介する。

8.GaN光電極を用いた人工光合成とCO2電気化学還元の系統分析(16:40〜17:30)

パナソニック(株) 材料研究室 環境材料研究部 四橋聡史 氏
 二酸化炭素を水と光で再資源化する「人工光合成」を窒化物の半導体で実現したので、主にこの開発の経緯について概要を報告する。この反応では電子の高いエネルギー励起が必要なため、通常の酸化物光触媒での実現は困難であったが、我々は窒化物半導体を適用することでこの反応の実現を可能にした。窒化物半導体の積層薄膜構造による工夫と、二酸化炭素の変換に関わる金属電極の考察により性能の向上が図られてきた。また窒化ガリウムで透過した光をSi p-n junctionで有効活用するタンデム型のデバイスを構成することにより、実太陽光下でのCO2→メタン変換、効率1%に迫るギ酸生成等、その性能向上を果たすとともに、動作解析による性能向上の指針を得ることが出来た。また最近進展している新しい水酸化助触媒や電気化学的二酸化炭素還元によるメタン生成についての結果も報告する予定である。

閉会あいさつ(17:30〜17:35)

プロセス分科会委員長[千代田化工建設(株)] 安井 進

 

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