27th JPI Petroleum Refining Conference 

Recent Progress and Future Prospect in Petroleum & Petrochemical Process Technologies
変貌するエネルギーとそれに対応する精製・石化装置の最新技術
日時 :2014年10月27日(月)、28日(火)
会場国立オリンピック記念青少年総合センター 国際交流棟 国際会議室
     (東京都渋谷区代々木神園町3-1)
 

プログラム

10月27日(月)

Opening Address(9:30〜9:40)

Mr. Akira Wakamoto(Chairman, Refining Division)

[基調講演]アルバータ州政府によるオイルサンド生産の産業への影響

1. The Competitiveness of Western Canadian Oil Sands in North American and International Markets: Opportunities and Challenges.(9:40〜10:30)

Dr. Duke du Plessis, Alberta Innovates
アルバータ州のオイルサンド企業は、増加し続けるビチュメン由来の精製用原油を生産している。それらの精製用原油にとって、現在最も供給しやすい市場は米国のPADD IIにある製油所である。講演では、米国および国際市場におけるオイルサンド原油の競争力向上に関する機会と課題について説明する。ビチュメン由来原油の市場性に強い影響を与える課題としては、生産コスト、輸送、精製コスト、様々な競争力のある原油の供給における急速な変化、そして、米国や国際市場における競合力の位置付けがある。
カナダの様々な州の政府省庁や産業界と連携するアルバータ・イノベイツ‐エネルギー・環境機構(AI-EES)は、国際市場におけるオイルサンド製品の競争力に関する段階的調査・研究を行っている。2013年に完了した第一期の検討では、様々な品質の違いが米国PADD II 製油所における競争力にどれほど強い影響を及ぼすかを評価した。調査・研究では、ビチュメン由来原油の市場価値を向上するために、希釈材の需要を減らしながらも、低コストの部分改良による減圧蒸留残油留分やTAN(全酸価)の含有量の削減を重要視している。また、調査・研究では、主要製品の品質向上や希釈材の削減を達成するための、異なる品質改良技術(例:熱分解法、水素化分解法、溶剤脱歴法)の可能性も確認している。第二期の検討は2014年に開始され、まず、世界中の様々な原油原産・精製地域における原油品質評価を調査し、その後アルバータ州において各製油所に適したビチュメン由来原油を生産するために必要な技術を検討している。講演では、第一期の方法論と結果、そして第二期研究の状況について説明する。
[石油化学原料生産]最新技術の展望

2. Outlook for Petrochemical Industry and its Recent Process Technology(10:30〜11:20)

Mr. Christian Dupraz, Axens
世界およびアジアに焦点をあてた石油化学工業の展望について紹介いたします。今後数年間の石油化学製品生産予測を紹介いたします。
また、需要に沿った最新プロセス技術についても紹介する予定です。特に、Axens社のParamaX プロセスによる芳香族生産およびHS-FCCによるオレフィン製造について説明いたします。アクセン社のヘキセン-1製造用のAlphaHexolプロセスに代表される、オレフィン転位のため採用される技術についても言及いたします。さらに、アクセン社のATOLプロセスによるエタノールからの“グリーンエチレン(green ethylene)”の製造についても紹介いたします。

3. A Flexible FCC Design to Meet Dynamic Market Trends(11:20〜12:10)

Mr. Gautham Krishnaiah, KBR Technology, Inc.
プロピレンとプロピレン系派生製品の世界需要はアジア地域の経済成長に牽引されている。スチームクラッカー(エチレン装置)の合理化に基づく液体ナフサからNGLへの原料スイッチと相まって、プロピレンの需要の高まりはFCC設備やプロピレン生産を目的とした設備(例えば、高過酷度FCC設備やプロパン脱水素化設備)によって対応されている。同時に、世界的にガソリンの需要が減少しディーゼルの需要が高まっている現状から、FCC中心の石油精製業者にとってガソリン留分比率の減少を図り、プロピレンの需要に対応することが長期的な課題となる。
KBR社は、既存のFCC装置の改造を通じてLCOの生産を最大化すると同時にプロピレン生産を最大にするFCC装置のための新しいデザインを提案している。LCO収量の増加に伴うセタン価値は、既存または小型の水素化処理からのLCOより経済的である。KBRの新しいFCCの設計は石油精製業者に製品収率を市場の需要に合致するための柔軟性を提供しています。

Lunch Time(12:10-13:10)

4. FCC/RFCC Maximizing Energy Extraction(13:10〜14:00)

Mr. Masaru Marui, UOP
日本は自国のエネルギー政策に関して評価を行っており、非公式ではあるが傾向として、原子力への依存減少の総意がある。近年、日本に起こったいくつかの出来事によって、エネルギー源の多様化、化石燃料効率の改善させることがフォーカスされている。過去50年のエネルギー政策は、化石燃料の購入というよりは、クリーンで経済的効率の良い原子力に依存したものであった。加えて、気候変動の対応から、日本政府は積極的な温暖化ガス削減目標を設定し、これが原子力の価値を増加させた。しかしながら、福島での事故後、ア原子炉は休止状態にあり、液化天然ガス(LNG)の輸入量が増加した。入り組んだ国内エネルギーバランスはMETIの裁定であり、石油精製会社に残油処理能力の割合改善を求め、結果として原油処理量の削減、重質な原油の購入、残渣留分の燃料油使用からRFCC原料のシフトが行われた。
RFCCにおいて残渣油の処理を行う精製技術があり、日本を含み世界中で実証されている。より重質な油をRFCCで処理することで再生塔排ガスの熱量が上昇し、パワーリカバリー装置の性能向上の可能性が見込める。RFCCコンプレックスにパワーリカバリー装置を増設した際の経済分析では、高い収益性の上昇と同時に化石燃料輸入量の減少と原子力発電の依存も減る結果となった。パワーリカバリーシステムは発電を行うだけでなく、ガスやその他の高価な熱源から作る電力の主たるユーティリティハブとして、また製油所の高圧/中圧スチームバランスをとる手段となるよう設計することが可能である。
[石油化学原料生産]オレフィン製造プロセスの紹介

5. Conversion Technology from Methanol to Propylene: DTP Process(14:00〜14:50)

Dr. Nobuyasu Chikamatsu, JGC Corporation
プロピレンは石油化学産業における主要な化学品の一つである。世界のプロピレン需要は今後も堅調な伸びが予想されており、プロピレン製造の原料の多様化と“専産”プロセスが注目されている。
日揮(株)と三菱化学(株)が共同開発したDTPプロセスは、メタノールから高収率でプロピレンを生成するプロセスである。原油価格が高騰する一方で、メタノールは比較的安価な天然ガスや石炭を原料として製造される。また、DTPプロセスでは原料としてメタノールに加えて、ナフサクラッカーやFCCから副生される未有効利用のC4-C6オレフィン類も共に用いることができる。
DTPプロセスは類似技術と比較してやや高温の反応温度とすることでより高いプロピレン選択性を達成している。その実現のため、水熱安定性の高い触媒を開発した。

6. Methanol to Olefins -A New and Profitable Route for the Production of Light Olefins(14:50〜15:40)

Dr. Gregory A. Funk, UOP
市場予測では、プラスチックなどの製品需要から、世界の軽質オレフィン生産量は今後10年間で年産1億トン追加する必要があるとの見通しがある。UOP’s Advanced MTO技術は、メタンやコールなどの低価格な炭化水素からポリマーグレード用プロピレンやエチレンを生産する技術である。 本公演では、いかの題目について発表を行う。
・ 本技術の導入を促進する経済性、市場動向
・ 本技術の概要 (化学反応、プロセスフロー、キーとなる運転指針など)
・ 他on-purpose軽質オレフィン技術との比較
・ 商業実績、第1号基 (Wison Vlean Energy Ltd., 2013年運転開始)の運転実績を含む

Break Time(15:40-15:50)
[石油化学原料生産]BTX製造プロセスの紹介

7. Capturing Value with Advanced ParamaX Technologies and Services(15:50〜16:40)

Mr. Christian Dupraz, Axens
Axens社のParamaXプロセスは、ナフサからの芳香族 (主にベンゼン及びパラキシレン) の製造に対するベンチマークとなっている。急増する需要及びより一層競争力のあるソリューションへの要求に応えるため、ParamaXプロセスは改良を続けている。C8芳香族からパラキシレンを分離するEluxylプロセスは、今日、非常に魅力的なシンプルデザインで提供される。C8芳香族の異性化プロセス及びトランスアルキレーションプロセスは、他に類を見ない優れた性能の新世代触媒を採用している。全体のエネルギー効率は、用役消費量及び運転コストを最小化するように最適化されている。
プレゼンテーションの中でこれら様々なポイントを詳細に展開する。
[安全管理]安全管理データベースの紹介

8. Process Safety Pressure Protection Manager(PS PPM)-Tool for Design and Database(16:40〜17:30)

Mr. Lee, Cherng En, Siemens Pte. Ltd.
SIEMENSは、今回、PS PPMという設備安全保護管理システムを紹介させていただきます。このPS PPMは我々SIEMENSが開発し、既に、世界中の多くの石油精製会社や石油化学会社の標準システムとして採用されています。
能力不足の安全弁システムが原因の事故は、会社の経営にも従業員や近隣の住民にも巨額の損害をもたらします。そのリスクを回避し、設備の安全性を確保し、その信頼性を向上するには、安全弁システムを正確に設計すること、及び、その後の定期的な情報更新を行うことが大切であります。この目的のために、我々は、長年のコンサルタント経験に裏付けられた業界内で最も優れていると言われているツール-PS PPM-を提供しています。PS PPMは、安全弁システムに関する、設計、分析、図書化、管理、最重要な項目の情報更新という全ての項目を網羅しており、操作方法も簡単で使い易いものとなっております。

Party(17:30-19:30)

International Exchange Building - Reception Hall

10月28日(火)

[重質油処理]最新の重質油処理の紹介

9. Recent Advances in Residuum Processing(10:10〜11:00)

Dr. Michael Smith, Chevron Lummus Global
原油コストの上昇や製品の需要構成・要求品質の変化により、原油の残渣分を処理する装置に対してより高性能と柔軟性が求められている。ガソリンから軽油まで軽質製品の需要変動に対応するためには柔軟性が必要である。固定床RDSと先進的なRFCCの組み合わせによってガソリンや軽質製品マーケットのニーズを満たすとともに、沸騰床プロセスによる高過酷度処理により中間留分への分解効率を最大化することができる。本講演では、ChevronとGraceの合弁であるAdvanced Refining Technologies(ART)社が提供する新しい触媒開発と、ChevronとLummus Technologies(CB&Iグループ)の合弁であるChevron Lummus Global(CLG)社が提供するプロセスの性能向上についてご紹介する。ARTは、継続的な開発努力によって多様な原料に対応しRFCCでの高品質ガソリン製造に寄与する2種類の最新の固定床RDS触媒を開発した。すなわち触媒システムの脱メタル側で使用される触媒と、システムの最後段で使用される高活性転化触媒である。またCLGのLC-FININGプロセスに関する最近の開発成果により、製品の安定性を維持しながら減圧残油を一層高度に分解して留出油製品を製造することを可能にした。本稿でCLG/ARTは、登場以来常に先端的な地位を占めてきたこれらの技術が、今後もその地位を維持し続けて行くことをお約束するものである。

10. Maximizing Fuels Production with DAO Hydrocracking(11:00〜11:50)

Ms. Gabriela Bosak, UOP
近年の重質油処理の増加において、脱歴油の転化や、重質油処理装置から出た製品を高付加価値の燃料へ転化する必要性が高まっている。UOPは業界有数の水素化技術を用い、先述の原料を最小限のコストで、高品質の燃料へ転化させる技術的解決策を提供し続けている。本公演では、以下の題目に焦点をあて発表を行う。
・ 水素化技術概要:設計含意と制限
・ DAO水素化分解装置の経済的利益
・ 既存設備をDAO水素化分解装置へ改造可能な有力候補
・ 商業実績

Lunch Time(11:50-13:00)

11. Recent Progress for Heavy Oil Upgrading Processes(13:00〜13:50)

Mr. Christian Dupraz, Axens
Axensは様々なタイプの重質油アップグレーディングプロセスをお客様にご提示させていただく、重要な役割を担っていると自負している。 精製講演会を機会に最適な重質油アップグレーディングプロセスの組み合わせを紹介したい。 沸騰床タイプの重質油水素化分解プロセス(H-OilRC)と溶剤脱れきプロセス(Solvahl)の組み合わせで、重質油の高分解が達成できる。 H-OilRCプロセスはさらにCokingプロセスと組み合わせることで優位性が得られる。 また充填床タイプの残油水素化精製プロセス(HYVAHL)で処理した重質油をHS-FCCレベルまで高度にRFCC処理する組み合わせは、もうひとつの大変魅力的な選択肢である。 更にVGO hydrocracking or VGO FCCと組み合わせることで、全体として製品の製造パターンを縦横に変化させることが可能となり、最も利益を得る柔軟性に飛んだ運転が可能になる。

12. Slurry Phase Hydrocracking: The Future is Now(13:50〜14:40)

Mr. Steve Mayo, KBR
スラリー床水素化分解装置は残渣油のアップグレードにコーカー装置の代替として注目を受けている。現在の市場の状況や予測可能な将来の市場の動向は、水添分解の技術であるスラリー床水素化分解装置によって提供される残渣油の分解成分が経済的であることを示しています。新しい技術ではないが何故かスラリー床水素化分解装置のコマーシャル・アプリケーションは、最近まで休止状態になっていた。近年、この技術は旺盛な投資経済に牽引され再び注目されている。
VCCTMは、Veba Oelによる数十年の商業運転実績のおよび何千もの特許を持つ卓越したスラリー床水素化分解技術です。英国BP社は2001年にVeba社の買収を通じて、VCCTMを買収し、2010年にKBRに技術をサブライセンスされました。ここわずか3年で、5基の VCCTMのライセンス契約が行われ。現在、3基が建設中であり、2基は2014年に運転が開始されます。
本稿では、スラリー床水素化分解装置の投資選択条件・市場動向等の状況を述べる。VCCTMがスラリー床水素化分解技術の中で最高の選択であることの技術的および運転上の理由を述べる。最後に、建設中のVCCTM装置の最新情報・試運転・スタートアップ状況を述べる。

Break Time(14:40-14:50)
[新エネルギー技術]メタンハイドレート開発、シェールオイル革命の産業界への影響

13. Recent Status of Methane Hydrate R&D Program and The Future(14:50-15:40)

(独)産業技術総合研究所 メタンハイドレート研究センター 成田英夫 氏
わが国では、2011年の東日本大震災以降、液化天然ガスの輸入が急激な伸びを示し、2013年は8,700万トン(約1,200億m3)を超えた。輸入総額も7兆円を超え、貿易収支に大きな影響を及ぼしている。このような情勢の中、わが国の排他的経済水域内に賦存しているメタンハイドレートについて、新たな天然ガス資源としての可能性を評価し、その商業的産出のための技術整備に向けた研究開発が推進されており、2013年3月に世界初の海洋産出試験が実施されたところである。
本講演では、経済産業省「メタンハイドレート開発促進事業」において取り組まれている研究開発状況と今後の課題などについて紹介する。

14. シェールオイル生産の展望と国内産業への影響(15:40-16:30)

(一財)日本エネルギー経済研究所 小林良和 氏
2000年代後半から本格化した米国におけるシェール革命は、それまで想定していなかった資源供給源を新たに登場させたことで、世界のエネルギー需給に対し非常に大きな影響をもたらした。本稿では、そうしたエネルギー市場への影響と合わせて、各産業への影響についても視野を広げて、シェール革命がもたらしたものを概観する。

Closing Address(16:30-16:35)

Mr. Hiroshi Shiraishi (Chairman, Process Section)

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