第26回絶縁油分科会研究発表会
日時:2006年6月2日(金)9:50〜16:20
場所:京都市勧業館「みやこめっせ」
(京都市左京区岡崎成勝寺町9-1 電話075-762-2630)
懇親会:6月2日(金)16:30〜18:00 (於:レストランめっせ(同館内))
司会:神庭 勝(日新電機(株))
開会の辞(9:50〜10:05)
絶縁油分科会委員長 土江 基夫
(研究発表)
1.絶縁油中における変圧器構造材の劣化(10:05〜10:30)
愛知電機(株) 宮島 極油入変圧器の巻線の構造材は、プレスボードなどのセルロースを基材とする材料で構成される。 巻線を支持するこれらの構造材が劣化することより、収縮や巻線寸法が変化することが懸念される。
本報告では、構造材料の単体試料、および巻線を模擬した複合試料に、一定の圧力をかけながら、加速劣化試験を行ない、 劣化と寸法変化の関係を調査した結果について述べる。
2.絶縁油と絶縁紙の自動酸化特性(10:30〜10:55)
ユカインダストリーズ(株) ○松永充史,神野雅弘
油浸絶縁系の劣化は酸素によって促進される。 絶縁油、絶縁紙それぞれ及び共存時の自動酸化特性を酸素吸収法及び化学発光法で検討した。
3.低粘度シリコーン液入変圧器用絶縁材料の熱劣化特性(10:55〜11:20)
(株)日立製作所 ○師岡寿至,小島啓明
(株)日本AEパワーシステムズ 山岸 明,宮城克徳防災・環境性を向上した低粘度シリコーン液入変圧器に対し、予防保全技術の確立を目的とした検討を進めている。 これまで、実器を模擬し低粘度シリコーン液中に、ボード材、ケイ素鋼、銅を共存させた液と絶縁紙の加速劣化試験を行っている。 巻線の絶縁被覆としては、変圧器の高温使用も視野に入れ、クラフト紙、アラミド紙を想定した。 劣化試験後の絶縁紙の引張特性、低粘度シリコーン液の液中ガス量と電気特性を評価したので、その結果を報告する。
4.変圧器用シリコーン油の引火性についての基礎的検討(11:20〜11:45)
諏訪東京理科大学 ○須川修身,鈴木久仁子
(株)日本AEパワーシステムズ 山岸 明,宮城克徳
日本法医工学(株) 上矢恭子防災・環境保全型の新しい変圧器の開発を目的に、絶縁冷却媒体として引火点が250℃を超え、 かつ環境中で加水分解する低粘度シリコーン油を選定した。 提案段階のIEC60695-8-3試験法に準拠し、コーンカロリーメーターを用いて、 シリコーン油の引火性および引火するかどうかの限界放射熱量について実験的検討を行った。 シリコーン油の粘度を20cSt、50cSt、および100cStと変化させ、負荷する放射熱量を9kW/m2〜50kW/m2まで変化させ、 引火するまでの時間の関係を実験的に得た。また熱物性値に基づき、熱的に厚い取扱いが可能であるとして、 引火によって燃焼が開始する時間のシミュレーションを行って実験結果との検証を行い、両者に良い一致を見た。
休憩(11:45〜13:00)
司会:宮島 極(愛知電機(株))
(特別講演)
5.電気絶縁油の開発秘話と最近の潤滑油研究開発動向(13:00〜14:00)
石油分析化学研究所 藤田 稔
- 電気絶縁油−変圧器油、ケーブル油およびメンテナンス−
- 電気絶縁油の創生期における開発秘話
- 潤滑油基油製造方法の進歩と品質、性能の向上
- 潤滑油添加剤を取り巻く環境の変化と求められる役割、性能
- 潤滑剤の試験、分析方法
以上の5項目について解説する。
司会:栗原二三夫((株)高岳製作所)
(研究発表)
6.各種硫黄化合物の銅板腐食性について(14:00〜14:25)
三菱電機(株) ○土江基夫,草壁徳男,池内悦子,網本 剛
最近、熱帯および温暖地域で使用される油入電気機器で硫化銅が問題となってきている。 これまでの硫化腐食性試験には合格しているものでも、問題が起こっていることから、IECでは試験方法の見直しを検討している。 ここでは、絶縁油中に含まれる硫黄化合物をアルキルベンゼンに添加して、 現行のIECの試験よりも過酷な140℃もしくは150℃で加熱試験を実施した。その結果について報告する。
7.パーム油脂肪酸エステルの化学構造と絶縁特性(14:25〜14:50)
ライオン(株) ○狩野孝明,岩渕裕行,星田善行,山田順一
(株)日本AEパワーシステムズ 小出英延,八田恭典変圧器に充填する絶縁油は、環境に優しい植物系油に切替える研究開発が活発化している。 ライオンは、植物油の中で生産量が最も多く安定供給可能なパーム油に着目し、各脂肪酸ごとに純度99%のメチルエステルを商品化している。 今回、脂肪酸エステルの新しい特性として、各種アルコールとエステル交換した脂肪酸エステルの化学構造と絶縁特性との関係を評価した。 絶縁性の面から絶縁破壊電圧が高く、冷却性の面から低粘度の鉱油代替となる基剤を開発したので報告する。
休憩(14:50〜15:05)
8.菜種油入り環境調和型変圧器の諸特性(15:05〜15:30)
(株)東芝 浜口昌弘
環境負荷低減のため現行の化石燃料である鉱油に対して天然菜種油を用いた環境調和型変圧器を開発した。 ここでは特に寿命特性、油中ガス分析による異常診断について紹介する。
(専門委員会報告)
9.変圧器油のガス吸収性試験の意義について(15:30〜15:50)
水素ガス吸収性試験専門委員会主査 (日新電機(株)) 神庭 勝
絶縁油のガス吸収性の重要性については多くの議論が交わされて来ており、 ケーブルコンデンサでは、重要性は高いと認識されているが、変圧器油でのガス吸収性の必要性については現在でも議論の分かれるところである。
今回は、変圧器油のガス吸収性について、変圧器メーカー、絶縁油メーカー、変圧器ユーザー、 メンテナンス・試験機関でのアンケート調査結果、および文献調査結果をもとに、再度議論を交わし、 現状でのガス吸収性試験の意義についてまとめたので報告する。
10.絶縁油と絶縁物の水分平衡関係専門委員会中間報告(15:50〜16:10)
絶縁油と絶縁物の水分平衡関係専門委員会主査 (愛知電機(株)) 宮島 極
絶縁油と絶縁物の水分平衡関係は従来から知られているが、劣化した絶縁油と絶縁紙の場合においてはあまり知られていない。 本委員会では、劣化した絶縁油と絶縁紙の水分平衡関係を照合試験によって調査を行なっており、 その結果について中間報告する。
閉会の辞(16:10〜16:20)
絶縁油分科会幹事 高本 清
懇親会(16:30〜18:00
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