第24回絶縁油分科会研究発表会
日時:2004年6月4日(金)10:00〜16:50
場所:京都市勧業館「みやこめっせ」
(京都市左京区岡崎成勝寺町9-1 電話075-762-2630)
懇親会:6月4日(金)17:15〜18:45 (於:レストランめっせ(同館内))
司会:手島 一裕(出光興産(株))
開会の辞(10:00〜10:10)
絶縁油分科会委員長 土江 基夫
(研究発表)
1.アルキルベンゼン充填変圧器中の絶縁紙と油の挙動(10:10〜10:35)
新日本石油(株) 山本 豊
新日本石油(株) 佐野 孝合成油であるアルキルベンゼン100%のケーブル油は、高電圧OFケーブル用として30年以上の実績があり、その優れた品質は広く認められている。この実績を有する合成系ケーブル油を変圧器に充填し10年が経過した。今回、当該変圧器充填油の性状変化状況ならびに絶縁紙の経年劣化状況を調査したのでその結果について報告する。
2.経年SPT(OFケーブル用特殊圧力油槽)の外油劣化について(10:35〜11:00)
(株)フジクラ 高橋 享
OF線路に油圧を与える油槽のうちSPT(特殊圧力油槽:外油3〜5kg/cm2加圧空気接触)はFT(重力油槽:外油大気圧空気接触)に比べ外油の劣化および水分増大が顕著であり、このうち水分はセル腐食の原因となり問題となる。この水分増大の原因は室温付近下での加圧空気による油の酸化劣化に起因することが実機の調査とモデル実験との対比から明らかになった。
3.油中微粒子測定による変圧器劣化診断技術(第3報)(11:00〜11:25)
中部電力(株) 野田 隆昌
前報で、油中に浮遊するセルロース繊維の半価幅の値と平均重合度との間によい相関が見られ、半価幅測定条件を見直すことで、高精度の検量線を作成することができたこと、および実器油中のセルロース繊維の半価幅の分布について検討した結果を報告した。今回は、分布調査をした実器を解体し、各部位の絶縁紙の平均重合度と半価幅を測定した。この結果と油中セルロース繊維の半価幅の分布との関係を検討し、実用化への課題を考えた。
4.生分解性トランス油の特性評価(11:25〜11:50)
(株)ジャパンエナジー 森島 欣之
現在、環境保全に役に立つと認められる商品には「エコマーク」を付けることができる。この「エコマーク」の中に「生分解性潤滑油」という分類があり、約60の製品が認定されている。今回は、この「生分解性潤滑油」に適合する合成エステル系トランス油の酸化安定性、電気特性等についての検討結果を発表する。
休憩(11:50〜13:00)
司会:佐野 孝 (新日本石油(株))
(特別講演)
5.油およびその流れの諸特性(13:00〜14:00)
岡山大学 鷲尾 誠一
これまで40年近くかかわって来た油の流れ、気体溶解、流動帯電等の研究について紹介させて頂く。内容としては、波動、オリフィス流れ、油に対する気体の拡散、流動帯電、キャビテーション、熱力学的物性の計測である。
6.最近のガスクロマトグラフによる微量分析の動向(14:00〜15:00)
(株)島津製作所 田辺 省三
最近のGC分析では、従来ppmであったものがppbへ、ppbであったものがpptへと検出感度への要求が高まっている。前処理により高感度化する、より感度の高い検出器を使用する、分析手法により高感度化することなどが行われている。ここでは、無機高感度検出器・パルストディスチャージイオン化検出器(PDID)、サルファー選択的検出器・サルファーケミルミネッセンス検出器(SCD)などの高感度検出器を中心に最近の動向を紹介する。
休憩(15:00〜15:10)
司会:西山 彰一((株)日本AEパワーシステムズ)
7.高抵抗絶縁油における流動帯電発生メカニズムの検討(15:10〜15:35)
三菱電機(株) 北林 宏佳
高抵抗な絶縁油が固体表面上を流れるときに発生する流動帯電の発生メカニズムについては詳細に解明されていない。そこで、そのメカニズムを検討するために、各々の固体材料を用いた場合に発生する絶縁油の流動帯電を評価した。その結果、固体間で発生する接触帯電で提案されている、固体間の仕事関数差が帯電に寄与するモデルを用いて新たな流動帯電発生メカニズムを提案した。
8.各種成分が絶縁油の帯電度に及ぼす影響(15:35〜16:00)
ティーエム・ティーアンドディー(株) 網本 剛
変圧器内を流動する絶縁油と固体絶縁物の間で流動帯電が生じることが知られている。絶縁油の主成分は炭化水素化合物であるが、微量の硫黄化合物、窒素化合物および酸素化合物も存在する。これまでの検討で酸素や銅触媒を含む状態で一部の硫黄化合物を添加して加熱すると帯電度が増大することが明らかになった。ここでは、各種微量化合物を添加して絶縁油の帯電度に及ぼす影響を検討した結果について報告する。
9.振動乾燥機を利用した真空加熱分離方式によるPCB除去プロセスの開発(16:00〜16:25)
愛知電機(株) 田中 良
PCBを含む電気機器からのPCB除去方法の一つである真空加熱分離方式に、振動乾燥機を新しく導入することによって、処理時間を短縮する装置の開発を行っている。発表では柱上変圧器構成部材である、銅線、絶縁紙、活性アルミナからの真空加熱分離方式によるPCB除去能力の調査結果を報告する。銅線、絶縁紙については、十分な除去性能が得られ、活性アルミナについては、加熱後の保持時間を延長することにより除去性能が向上することを明らかにした。
10.小型変圧器絶縁油保守管理基準調査専門委員会報告(16:25〜16:45)
愛知電機(株) 宮島 極
小型変圧器では大型に比べ一般的に絶縁油劣化が大きく、小型変圧器絶縁油に対する保守管理基準への要望も各所で聞かれる。このような背景から本調査委員会では、小型変圧器絶縁油の保守管理現状調査に引き続き、稼動中の小型変圧器における絶縁油劣化データの調査・集計を実施、劣化の現状を把握するとともに、小型変圧器絶縁油に対する保守管理基準の設定可否に関する検討を実施した。本報告ではこの結果について紹介する。
閉会の辞(16:45〜16:50)
絶縁油分科会幹事 高橋 享
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