第22回絶縁油分科会研究発表会
日時:2002年6月7日(金)10:00〜16:20 研究発表会
16:30〜18:00 懇親会
場所:コミュニティ嵯峨野(京都府勤労者研修センター)
(京都市左京区嵯峨天龍寺広道町3-4 電話075-871-9711)
司会:石垣 治久(明電舎)
開会の辞(10:00〜10:10)
絶縁油分科会委員長 石井 敏次
(研究発表)
1.劣化生成物の絶縁紙への吸着(10:10〜10:35)
ユカインダストリーズ (株) 石川 和美劣化生成物である炭酸ガスおよびフルフラール量を用いた油入変圧器の現行の経年劣化度診断では、これら劣化生成物の絶縁紙への吸着に対する考慮がなされていない。そこで、経年劣化度診断の精度向上を目的として、劣化生成物の各種絶縁紙に対する吸着特性を検討した。また、診断におけるプレスボードの採取個所による影響を確認するため、実器プレスボード中のフルフラールの分布について検討した。
2.製油所における変圧器診断の適用事例と問題点 (10:35〜11:00)
日石テクノロジ−(株) 牧野 宣男
油中ガス分析、フルフラール分析を用いる変圧器診断を、不測の事故防止、延命化に有効であることを認め、導入する変圧器ユーザが増えている。これは、厳しい経済情勢が求める科学的診断として、信頼を得たことを示している。一刻も停止することを許されない製油所での手法について、開発過程を紹介する。併せて、診断拡大適用の問題と取組みの一端を述べる。
3.油中微粒子測定による電力用変圧器劣化診断技術(11:00〜11:25)
中部電力(株) 杉本 敏文
稼動中変圧器の絶縁油の中に漂う微粒子を取り出し、さらにその中からセルロース繊維を分別し、結晶性を観察するX線回折法を実施することで、半価幅測定値から絶縁紙平均重合度を推定できることを見い出し、試料実験により比較的良い相関性を持った検量線を作成した。そして実器を用いて試行した。これにより、油中微粒子を測定分析するという極めて物理的な手法による変圧器劣化診断を新たに考案し、具体的な検討ができた。
4.電力用コンデンサ絶縁油の調査(11:25〜11:50)
中部電力(株)野田 隆昌
位相調整用コンデンサは、誘電体としてクラフト紙、絶縁油として鉱油にアルキルベンゼンを混合した油が使用されている。このコンデンサの不具合が近年散見されているが、その原因は必ずしも明確ではなく、診断方法も確立していない。そこで6台のコンデンサ油についてtanδ、油中ガスを調査した結果、劣化が進行していると考えられるコンデンサと健全なコンデンサとで異なる傾向がみられた。
休憩(11:50〜13:20)
司会:佐野 孝(日石三菱)
(特別講演)
5.油入変圧器の予防保全(13:20〜14:20)
三菱電機(株) 宮本 晃男
変圧器には油入変圧器、モールド変圧器、ガス絶縁変圧器がある。ここでは絶縁油や油浸紙が関与する内部診断技術から見た油入変圧器の予防保全について述べる。項目として、新技術を含めた油中ガス分析による異常診断、絶縁油特性から見た診断、流動帯電現象の診断、寿命診断について、実例とどんな診断装置が利用されているかの動向にも触れる。
司会:石垣 治久(明電舎)
(研究発表)
6.絶縁油中PCBの迅速分析方法(14:20〜14:45)
(株)荏原製作所 高田 誠
廃掃法の改正により、PCB処理が活発化している。油中PCBの処理基準値は0.5 ppmと厳しく設定され、この分析には高分解能GC/MSを用いた方法が定められた。しかし数週間の時間と多大なコストを必要とするため、膨大なPCB汚染物の判定に用いるのは困難である。そこで固相抽出器と低分解能GC/MSを使用した迅速分析法を開発した。本方法により測定時間2時間、コストも従来の1/10で行うことができた。
7.EFPI光ファイバセンサを用いたエポキシモ−ルド品の内部ひずみ計測(14:45〜15:10)
(株)明電舎 宮川 博司
電気・電子分野では、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂は耐熱性と機械・電気特性のバランスや成形性に優れており、電気絶縁材料として多方面で利用されている。特に製品は、高電界下での絶縁特性と構造物としての機械特性を両立した高信頼性が要求されている。当社は大阪市立大学と共同で構造物としての信頼性確保を目的に、モールド製品内部の歪挙動を光ファイバセンサで連続計測するモニタリング方式の可能性を検討している。
休憩(15:10〜15:20)
司会:宮本 晃男(三菱電機)
(特別講演)
8.光を用いたオイル樹脂等の非破壊劣化診断技術(15:20〜16:20)
(株)日立製作所 竹澤 由高
光は電気的ノイズの影響や湿度の影響を受けないため、電気機器を非破壊的に診断するのに効果的である。オイルや樹脂は劣化変化が化学反応速度論に従うため、寿命予測が原理的に可能である。劣化に伴う化学構造の変化と光損失値との間に相関があることに着目し、劣化度(余寿命)を非破壊で予測できる技術を確立した。本講演では、可視光では判別できない黒色化した場合でも評価できる近赤外光を用いた光診断技術について紹介する。
閉会の辞(16:20〜16:25)
絶縁油分科会幹事 高橋 亨
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