第21回絶縁油分科会研究発表会

日時:2001年6月8日(金)10:00〜17:00研究発表会,17:00〜18:00懇親会
場所:コミュニティ嵯峨野(京都府勤労者研修センター)
   (京都市左京区嵯峨天龍寺広道町3-4 電話075-871-9711)

司会:宮尾博(日立製作所)

開会の辞(10:00〜10:10)

絶縁油分科会委員長 石井敏次

 

(研究発表)

1.連続流動帯電測定装置による検討(10:10〜10:35)

(株)ジャパンエナジー 森島欣之

 昨年に続き、帯電度を測定するミニ静電テスターと連続酸化時の誘電正接を測定する装置を基に製作した電気絶縁油の無酸素加熱時及び酸化加熱劣化時の流動電流と誘電正接の変化を同時に測定できる装置を用いて検討を行った。今回は動粘度の影響やスルフィド等の影響についての検討結果を発表する。

2.絶縁油基油の各精製法と連続酸化tanδ挙動について(10:35〜11:00)

出光興産(株) 手島一裕

 近年、超高圧大容量変圧器用絶縁油として、流動帯電現象を抑制する絶縁油が望まれている。流動帯電の危険性は、絶縁油の酸化初期における誘電正接 (tanδ)の増大と、密接な関係があると言われている。今回、各種酸化劣化試験での誘電正接上昇傾向について検討したので紹介する。

3.各種化合物の破壊電圧に与える影響について(11:00〜11:25)

日石三菱(株) 〇佐野孝,吉田俊男

 絶縁油の破壊電圧には、交流破壊電圧と衝撃破壊電圧がある。交流破壊電圧についてはその低下要因として、水分が悪影響を及ぼすことは知られているが、絶縁油中の各種成分と破壊電圧の関係については十分明らかになっているとは云い難い。本発表では、絶縁油に含有される化合物の中から代表的なものを数種選定し、これら化合物が上記2種の破壊電圧に与える影響について検討した結果について報告する。

4.難燃性合成油中のコイル間絶縁特性(11:25〜11:50)

(株)日立製作所 〇白根隆志,乗峯哲朗

 従来の鉱油に比べ難燃性や生分解性に優れた合成油について、変圧器への適用の可能性を絶縁性能の面から検討した。合成油はシリコーン油、菜種エステル油、ポリ-α-オレフィン油を取り上げ、油ギャップの交流破壊電圧と変圧器複合絶縁の基本的な構造を模擬したコイル間モデルによる交流部分放電開始電圧や雷インパルス破壊電圧を調査した結果、いずれの合成油も鉱油と同等以上の絶縁強度を有し、絶縁面では適用可能と判断された。

 

休憩(11:50〜13:20)

司会:高橋亨(フジクラ)

(特別講演)

5.絶縁材料の将来展望(13:20〜14:20)

(財)電力中央研究所 田中祀捷

 20世紀から21世紀を展望するとき、社会が(1)量から質への転換、(2)価値観の多様化、(3)環境創造への希求、という変化が起こっており、それに応える技術開発を行うことが望まれている。このような背景のもとに、電気技術と電子技術の流れを分析し、先端技術からの影響、電力技術と電子技術の融合などの観点から、絶縁技術及びその研究について将来展望を行う。

6.PCB処理技術の開発動向と今後の課題(14:20〜15:20)

(財)産業廃棄物処理事業振興財団 泉沢秀一

 PCB廃棄物の保管状況及びその問題点、廃棄物処理法で規定されているPCB処理基準、分析方法等について概要を紹介するとともに、PCB廃棄物の処理技術の開発状況及びPCB処理の現状について述べ、今後のPCB処理の動向及び課題について言及する。

 

休憩(11:50〜13:20)

司会:森島欣之(ジャパンエナジー)

(研究発表)

7.絶縁紙の劣化におよぼす酸素と水分の影響(15:30〜15:55)

ユカインダストリーズ(株) 長谷川 真之

 実器における油中劣化指標成分量と絶縁紙の平均重合度との関係は、相関が認められるものの幅が大きい。その原因の一つとして、変圧器の付加率や油中の酸素及び水分量の違いが考えられる。そこで、酸素及び水分の添加量を変え、120〜160℃で絶縁紙の加熱実験を実施したところ、酸素を添加した場合、フルフラール生成の活性化エネルギー及びフルフラール生成量に影響していることが判った。

8.変圧器絶縁紙の熱劣化特性(15:55〜16:20)

(株)東芝 石岡康昭

 最近、機器の延命化検討や寿命損失推定等でより詳細な情報が必要となってきたため油入変圧器の主要構成材料である絶縁紙/絶縁油系の熱劣化を調査した。油浸紙の寿命、絶縁紙から生成されるフラン化合物の絶縁紙/絶縁油中の分布及びフラン化合物と他特性の関係について述べる。

9.絶縁油電気特性測定方法専門委員会報告(16:20〜16:40)

閉会の辞(16:40〜16:45)

絶縁油分科会幹事 岡田美津雄

 

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