「来たるべき水素社会に向けてエネルギー産業が果たすべき役割」
−水素・燃料電池技術開発への取り組み−会期:2005年5月27日(金)9:50〜17:05
会場:(独)国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟 402室
(渋谷区代々木神園町3-1)
協賛:日本エネルギー学会、日本化学会、日本機械学会、化学工学会、触媒学会
開会の辞(9:50〜10:00)
石油学会 新エネルギー部会長 村田 三雄
(一般講演)
1.水素の導入・普及に向けての課題と展望(10:00〜11:00)
水素エネルギー協会 理事 岡野 一清 氏
地球環境問題とエネルギーの安定供給に対する対策として水素の期待が高まっている。
短期的には燃料電池を中心とした水素利用技術の商品化と水素インフラの構築が必要となるが、 障害となる技術的、経済的、社会的課題の本質を見極めて有効な対策を打つことが求められている。 水素インフラ構築の組織的取り組みは海外ですでに始まっているが、それらの具体的諸問題と産業界が果たすべき役割、 水素に関する将来展望について述べる。
エネルギー産業の「水素・燃料電池関連技術開発」への取り組み
2.石油系燃料電池システムの開発(11:00〜11:40)
新日本石油(株) 新エネルギー本部 FC事業3部 チーフスタッフ 安斉 巌 氏
新日本石油(株)では、現在事業化に向けて、LPG、灯油を燃料とする石油系燃料電池システムの開発を進めている。 LPG、灯油を燃料とするための各種触媒の開発研究、ならびにLPG、灯油燃料電池システムの開発経過と、実証運転の状況を紹介する。
3.燃料電池用の灯油、LPG改質技術の開発状況(11:40〜12:20)
出光興産(株) 中央研究所 燃料電池プロジェクトリーダー 松本 寛人 氏
灯油やLPGを燃料とする石油系燃料電池はインフラが整っている、災害に強いなど、先行する都市ガス型と比較して利点が多く、 その実用化が期待される。一方、技術的にはこれら燃料中の硫黄を除去し水素を取り出す改質技術は、 格段に難しく実用化のネックになっていた。近年これらの困難な技術開発に大きなブレークスルーが見られ、 石油系燃料電池の実用化に向けた取り組みが加速されている。 灯油、LPG改質技術の課題とどのようにブレークスルーがなされたかを中心に技術開発の進展状況を概説する。
休憩(12:20〜13:20)
4.日本ガス協会における燃料電池普及に向けての取組み(13:20〜14:00)
(社)日本ガス協会 技術開発部 燃料電池・水素プロジェクトG 課長 大村 俊哉 氏
日本ガス協会でこれまで実施してきた、PEFC普及のための導入基盤整備を目的としたNEDOの 「固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備事業 定置用固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備」、 新エネルギー財団(NEF)の「固体高分子形燃料電池システム実証等研究 定置用燃料電池実証研究」 や燃料電池自動車に水素を供給するステーション用の高効率でコンパクトな燃料電池用水素の製造技術開発等、 燃料電池の普及に係わる取り組みについて紹介する。
5.水素の輸送と貯蔵(14:00〜14:40)
(株)ジャパンエナジー 精製技術センター 主任研究員 梅沢 順子 氏
これまでわが国では水素製造技術の開発に力点が置かれてきたが、水素インフラの整備のためには、 水素貯蔵・輸送技術が必要である。水素貯蔵方法として、高圧水素、液体水素、水素吸蔵合金、無機ハイドライド、 有機ハイドライドをあげ、それぞれの特徴を比較し、最近の技術開発動向を紹介する。 後半ではジャパンエナジーの取り組む有機ハイドライドを利用する水素貯蔵・供給技術について紹介する。
休憩(14:40〜15:00)
6.水素ステーション (15:00〜15:40)
東京工業大学大学院 理工学研究科 教授 岡崎 健 氏
JHFCプロジェクトにより設置された首都圏の10ヶ所の水素ステーションとその実証試験の概要を紹介し、 効率評価の基本的考え方と実データに基づく評価結果を報告するとともに、効率向上への取り組みと将来展望について述べる。
新エネルギー部会 水素・燃料電池分科会 活動報告
7. 分科会設立の背景、趣旨、活動計画(15:40〜15:50)
水素・燃料電池分科会委員長 原川 通治
8.微量不純物の分析技術とFCへの影響評価 (15:50〜16:15)
山梨大学大学院 医学工学総合研究部 教授 柴田 正実 氏
石油系燃料改質ガス中に含まれる微量不純物の分析基礎技術に関する検討結果について報告する。 電気化学的手法(回転電極法と高速パルス法の組み合わせ)を用いて、硫黄系無機および有機化合物、 窒素化合物が定量分析可能であることを述べる。また、これらの微量不純物がFCセルへ及ぼす影響について検討した結果を報告する。 アノード触媒に予め所定量の不純物を吸着させ、その被覆率と触媒能に及ぼす影響について述べる。
9.固体酸化物形燃料電池の燃料適応性の向上に関する調査 (16:15〜16:40)
京都大学大学院 工学系研究科 助教授 菊地 隆司 氏
固体酸化物形燃料電池は、高温作動のため種々の燃料を用いて発電が可能であるが、 炭素を含む燃料を直接用いる場合、電極上での炭素析出による性能低下が問題となる。 本研究では、新規燃料極材料を開発し、メタンをはじめとする炭化水素燃料での安定した発電を目的とする。 また、発電効率の向上に向けた固体酸化物形燃料電池の操作条件について、外部改質操作、内部改質操作を検討し、 最適条件について報告する。
10. 石油系燃料を用いたCOxフリー水素合成法の調査 (16:40〜17:05)
九州大学大学院 工学研究院 助教授 竹中 壮 氏
地球環境保全の観点から水素-酸素燃料電池の実用化が望まれている。 水素-酸素燃料電池の燃料としてCOxフリー水素が必要となるが、 現行の炭化水素の水蒸気改質法では一段でCOxフリー水素を得ることはできない。 そこで本研究では、炭化水素分解法によるCOxフリー水素の合成を試みた。エタン、プロパン、ブタン分解に対して、 担持Ni触媒が高活性を示し、COxフリー水素が生成した。担持Ni触媒はこれらの炭化水素分解に高活性を示したが反応の進行に伴い、 触媒上には多量の炭素が蓄積し触媒は失活した。そこで担持Ni触媒上に蓄積した炭素をCO2によりガス化したところ、 COが選択的に生成し、炭素は効率よく除去され、担持Ni触媒の炭化水素分解活性は再生した。
問合せ先
|部会活動|新エネルギー部会|トップページへ |