地球温暖化防止に向けたエネルギー利用多様化への取り組み
−分散型電源・コージェネ技術の進展−会期:2004年4月16日(金)9:40〜17:00
会場:学術総合センター・2階 中会議場(東京都千代田区一ツ橋)
協賛:日本エネルギー学会、日本化学会、日本機械学会、化学工学会、触媒学会
開会の辞(9:40〜9:50)
石油学会 新エネルギー部会長 村田 三雄
1.期待されるエネルギーマネジメントビジネスの現状(9:50〜10:40)
イーキュービック(株) 代表取締役社長 岩崎 友彦氏
目に見えないエネルギー消費を、個別設備・機器別の「発生時点情報」として「見える化」を図り、通常の経費管理と同様に、エネルギーを「経営マネジメントの対象」とする。こうした個別設備・機器の無駄取り(省エネルギー、CO2削減、省コスト)と現場オペレーションのクオリティーアップ(意識改善)を通じ、「社会資本・資源の合理的利用の促進」と「エネルギー消費者意識の改革」という理念を達成させたい。
2.石油コージェネを組み込んだ日本初の地域熱供給システム(10:40〜11:30)
山形熱供給(株) 技術部長 本田 廣志氏
2001年元旦、山形駅西口地区で営業を開始した地域熱供給システムは、日本で初めて石油コージェネを採用し、石油・ガス・電力のトリプルミックス熱源を用いて、低廉かつ安定的に電気・冷水・蒸気を供給している。運営開始後、約3年を経過したこの地域熱供給システムの設立経緯、設備概要、運転データおよびその解析結果等を紹介する。
3.21世紀:「水素の時代」とコージェネレーションの展望(11:30〜12:30)
日本コージェネレーションセンター会長 東京大学名誉教授 芝浦工業大学客員教授 平田 賢氏
人類は燃料として19世紀まではたきぎ、炭などの固体燃料を用いてきた。20世紀は石油の世紀であり、自動車が走り、飛行機が飛んだ。固体、液体と進化したので21世紀は気体燃料の時代だろう。石油のシェアは1970年代の後半にピークをとり、現在は42%程度で天然ガスと肩を並べた。燃料電池技術の進展はめざましく、気体燃料でも「水素の時代」が2010年頃には始まるだろう。水素利用技術、特にコージェネレーションの最近の進展とそれらを支えるインフラの構築に関して展望する。
4.マイクロタービンの現状と展望(13:30〜14:20)
東京ガス(株) エネルギーソリューション事業部 エンジニアリング推進部 課長 平岡 正充氏
マイクロタービンは小型高速型発電機・低エミッション・容易な保守管理等の特徴を活かして小型コージェネ市場において定着期を迎えつつあり、主要メーカーである米国キャプストン社代理店およびトヨタタービンアンドシステム社の国内出荷実績は585台・34,000 kWに達している。本講演では、マイクロタービンコージェネの特徴、導入事例、新機種の開発、エネルギーサービスによる普及拡大への取組み等について紹介する。
5.携帯機器用小型燃料電池の開発(14:20〜15:10)
(株)東芝 研究開発センター 給電材料・デバイスラボラトリー 研究主幹 五戸 康広氏
携帯機器の発展に伴い、電源に対する要求が高まっている。そのような中、燃料電池は、燃料の持つ高いエネルギー密度を活かした長時間駆動が可能であることや、充電がいらないといった特徴をもつため、新しい電源として期待されている。ここでは、メタノールを燃料とする小型燃料電池について、その特徴や開発の現状について紹介する。
6.固体酸化物形燃料電池の開発動向と炭化水素系燃料の利用 (15:20〜16:10)
(独)産業技術総合研究所
電力エネルギー研究部門副部門長兼燃料電池グループリーダー 横川 晴美氏固体酸化物形燃料電池の発電装置としての特徴を述べる。特に、全て固体でできているために製造するのが難しい反面、良いものができれば安定性に優れた特性を示し、製造コストも低いことから本格的な燃料電池として期待される。また、燃料として炭化水素系燃料も直接用いることができる。液体燃料は現行の燃料インフラからみても興味のある燃料であるため、その利用についても概観する。
7. 我が国のエネルギー需給の将来展望と課題(16:10〜17:00)
東洋大学経済学部 教授
(前(財)日本エネルギー経済研究所 理事 第二研究部長) 小川 芳樹氏我が国はバブル経済の崩壊で長期の不況に苦しみ、構造改革の一環としてエネルギー産業の規制緩和も進みつつある。一方でエネルギー産業の国際競争力を高める必要があり、一方で地球温暖化を中心とする環境問題に取り組んでいく必要がある。この報告では化石燃料中心とみられる2030年までとエネルギーの多様化が進むと考えられるその後に分けて、我が国のエネルギー需要の将来展望と今後の長期的な課題を種々の視点から吟味する。
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