国際交流功績賞
わが国とクウェートとの友好関係を石油精製部門における技術および人的交流を通じ発展させた功績
Kuwait Institute for Scientific Research 殿
Kuwait Institute for Scientific Research (KISR, クウェート科学研究所)は,石油に関する研究を行う目的で1967年に設立されたクウェートの研究機関である。1981年に政府の研究機関となった後は,研究対象を環境保全,エネルギー・水資源の開発等に関する分野にも広げ,クウェート屈指の研究機関として,同国の中で重要な位置を占めている。
わが国の石油産業はKISR設立当初から深く係っており,特に1993年以降はわが国の研究機関とKISRとの間で,石油ダウンストリーム分野での研究・技術交流が本格的に行われ,今日に至っている。わが国は第二次石油危機を契機として産油国と科学技術分野での交流を一層推進しており,KISRはクウェート側の窓口として両国の技術交流の中心的な役割を果たしてきた。例えばクウェート国営石油会社へのわが国からの技術移転における支援,クウェート製油所現場での課題を技術交流テーマとして積極的に取上げるなど,KISRが果たしてきた役割は極めて大きい。またクウェートは近年,国の政策として研究者・技術者の人材育成に重点を置いており,KISRはこの点においてもわが国との人的交流を積極的に推進し,クウェートの研究・技術水準の向上を図っている。この結果,関係者の努力もあり,両国の研究・技術面での協力,交流は年を追うごとに深まってきている。
わが国とクウェートが石油分野の関係強化の観点から実施している事業に,1993 年から毎年開催している「日本・クウェート合同セミナー」,1995年から毎年実施している「産油国研究者の受入れ」がある。前者はKISR,国際石油交流センター,石油学会が共同開催する石油精製プロセスなどに関するセミナーで,両国の研究者による発表と議論を通じてクウェート石油産業の技術課題解決に大いに貢献している。後者は産油国機関の推薦を受けた研究者が,わが国の大学・企業の研究所などに数ヵ月滞在して研修を行うもので,KISRからは毎年2名程度が参加している。この他にもKISRは2007年以来,わが国から石油関連の研究者を招聘し,直接研究指導を受けている。
こうしたKISRの実績はクウェート政府から高い評価を受け,結果として,わが国に対するクウェート政府からの高い評価に結びついていると言える。KISRとの連携で長年培った技術・人的交流の成果は,将来の両国間の友好関係のさらなる維持・発展につながると期待できる。
以上のように,KISRはわが国とクウェートとの技術および人的交流の中心として長年にわたり重要な役割を果たしてきており,その功績は国際交流賞表彰規程第2条2項に該当するものと認められる。
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