奨励賞(東洋エンジニアリング賞)

超重質油の改質反応に与える超臨界水の溶媒効果の解明

 

森本 正人殿((独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 主任研究員)

 森本氏は,オイルサンドビチューメン等の超重質油のアップグレーディングプロセスとして注目されている超臨界水を用いた改質反応において,重質油の分子構造を明らかにし,水の溶媒効果についての考察により最適な改質反応条件を見出すことに成功した。
 従来,超臨界水中での重質油改質反応における水の効果については,主たる生成物の軽質油や副生固体コーク成分の収率を比較することで推測するにとどまっていた。森本氏は,ガス,軽質成分,重質成分,および固体成分をそれぞれ分子構造レベルで詳細に分析し,反応機構を検討した結果,超臨界水中では多分子反応が抑制され,単分子反応が起こり易くなることを明らかにした。
 また森本氏は,超臨界水中への重質油の溶解度の指標としてハンセン溶解度パラメーターを導入した。従来から用いられてきた比誘電率に加え,ハンセン溶解度パラメーターを併用することで,超臨界水による改質反応の最適条件を予測し,これを実験的に検証した。
 さらに,従来の熱分解プロセスであるディレードコーカーやユリカプロセスなど様々なプロセスでの改質結果について,コーク収率と軽質油収率を重質油転化率に対して整理・比較し,軽質油回収率の限界,過度な分解やコーク生成を議論できる独自の方法を開発した。この手法により,超臨界水改質場を最適条件に設定すれば,重質油の転化率が高く,コーク生成を抑制する条件下でも高収率で軽質油が得られることを明らかにした。
 以上の業績は,森本氏の卓越した実験,分析技術と独創的思考によりなし得たもので,今後の重質油改質技術開発に大きく貢献するものである。よって本会表彰規程第12条に該当するものと認められる。

 

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