国際技術交流賞
アラブ首長国連邦における石油精製設備フレアーガス削減技術
アブダビ石油精製会社(TAKREER)殿
コスモ石油株式会社殿
東洋エンジニアリング株式会社殿
コスモエンジニアリング株式会社殿
アラブ首長国連邦のアブダビ国営石油会社(ADNOC)の一員であるアブダビ石油精製会社(TAKREER)では,環境問題への対策に取り組んでおり,その一環としてフレアーガス削減のための回収設備の導入を,(財)国際石油交流センター(JCCP)の補助事業として,コスモ石油(株),東洋エンジニアリング(株),コスモエンジニアリング(株)とともに実施した。
回収設備の導入はアブダビ首長国の主要施設であるTAKREERのルワイス製油所の水素化分解装置群のフレアーガスを対象とした。従来,フレアースタックにおいて燃焼していたガスから硫化水素を除いた後,燃料ガスとして利用するための設備を導入したものであるが,運転操作性および管理を簡素化するため,ガスホルダーを装備せず,水封式圧縮機を採用し,フレアーガス量の変動にはガス循環によるガス量確保によって対応した。かつ,これら新設設備と既設設備の干渉を打ち消すために運転制御の解析を行い,計装システムを改めることにより安定化を実現した。機器の数を少なくしたことで,設備の維持管理が容易で,長期にわたる信頼性を確保できる設備となった。
本フレアーガス回収設備の導入により,燃料用に使用している天然ガスが削減でき,現状では7,200トン/年の二酸化炭素削減をもたらしている。また,従来はフレアースタックにおける燃焼によって発生していた硫黄酸化物の削減ができた。本技術開発では2005年にTAKREER‐JCCPの基本契約が締結され,フレアーガス回収設備の基本設計を実施した。さらに,2006年に詳細設計を実施し,それに基づいた現地工事を開始した。2008年に回収設備が完成し,試運転実施後,2008年11月にTAKREERへの設備受け渡しが完了し,その後,順調に継続運転が行われている。本設備はフレアーガス回収に非常に有効な設備であり,環境負荷削減に貢献している。また,構造が単純で運転操作も容易であることから普及が大いに期待でき,実際,TAKREERではフレアーガス回収が未だ実施されていない製油所への本技術の適用を検討しつつある。
本事業での導入設備は,日本国内において実績のある設備であり,日本国内の技術を海外移転したものであるが,現地の実情に合わせて工夫改良することで,今後広く普及が期待できる技術となっている。よってこの業績は,国際交流賞表彰規程第2条1項に該当するものと認められる。
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