論文賞
35Sトレーサー法を用いた高表面積チタニア担持モリブデン系
水素化脱硫触媒上における硫黄挙動の解析
石原 篤殿,Franck Dumeignil殿,王 丹紅殿,李 相国殿,
荒川 久殿, 銭 衛華殿(東京農工大学),井上 愼一殿,
武藤 昭博殿(千代田化工建設(株)),加部 利明殿(東京農工大学)
(所属は論文発表時のものです)
著者らは,pHスイング法にて調製した高表面積で機械的挙動特性の優れたTiO2担体の上に含浸法によりMoを担持させて調製した触媒を用いて,ジベンゾチオフェン(DBT)の水素化脱硫に及ぼすMo担持量の影響および35Sアイソトープトレーサー法により硫化したMo/TiO2触媒上における硫黄挙動を解析した。その結果,高表面積TiO2担持触媒上では16 wt%MoO3まで脱硫活性が直線的に増加し,単位表面積あたりに担持できるMo量が従来のTiO2やAl2O3担体よりも高いこと,および35Sアイソトープトレーサー法の結果より,Mo/TiO2触媒では,同じ温度においてはMo担持量の増加に伴い,硫化水素(H2S)の放出速度定数(k RE)が一定のまま,移動可能な硫黄量は16 wt%MoO3まで直線的に増加することを見出した。
これらの結果より,高表面積TiO2担体上では16 wt%MoO3までは均一なMo相が形成されていることが明らかとなった。さらに著者らは,Al2O3担体上のMoに比べTiO2担体上のMoのk REが大きいことより,TiO2担持触媒がAl2O3担持触媒より高活性を示す要因としてCoMoS相に類似したTiMoS相の形成を提案している。
本論文で提案した高表面積で機械的挙動特性の優れたTiO2担体を用いた触媒は将来の展開によっては産業面での大きな貢献が期待できる。以上の点から,本論文は本会表彰規程第6条に該当するものと認められる。
[対象論文] J. Jpn. Petrol. Inst., 48,(1), 37(2005).
*(現在)開南大学(中華人民共和国)
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