論文賞

コバルト担持スメクタイトならびにコバルトモリブデン担持アルミナ系触媒共存下での石油由来アスファルテンの1H-NMR熱分析

岩松 栄治殿+1),林 英治殿+2),真田 雄三殿+3),M.Ashraf Ali殿,Shakeel Ahmed殿
Halim Hamid殿(King Fahd University of Petroleum and Minerals)
Richard Sakurovs殿(Commonwealth Scientific & Industrial Research Organization)
米田 俊一殿+4)(石油産業活性化センター)

 コバルト担持スメクタイトならびにコバルトモリブデン担持アルミナ系触媒を石油由来アスファルテンとともに水素雰囲気下で40℃から420℃まで加熱したときのアスファルテンの変化を 1H-NMR(PMRTA)で測定し,その結果から触媒の活性,担持金属の分散性と担体との相互作用を評価する新たな方法を提案した。 すなわち,アスファルテンを触媒と加熱していくと,350℃程度でアスファルテンに残存する“残存水素量”が急激に減少すると同時に, アスファルテン中の水素の分子運動性を表すパラメーターである“2次モーメント”(M 2T16)が極小値を与えることを見出し,これらの現象が活性な触媒に特有の現象であることを,触媒のクメン熱分解活性,チオフェン脱硫活性と関連付けて明らかにした。 さらに,残存水素量と(M 2T16)の急激な変化が触媒上のコバルト酸化物,モリブデン酸化物の還元に対応することを推測した。 触媒の焼成や予備硫化等の前処理が触媒活性に及ぼす効果の本質はまだ十分には解明されていないが,本論文で提案した新規な触媒分析手法は学術的に極めて有意義な方法であると判断できる。 また,実際に接触分解反応を行わなくても短時間で簡便に触媒活性を評価できる可能性があり,将来の展開によっては産業面でも大きい貢献をすることが期待できる。 以上の点から,本論文は本会表彰規程第6条に該当するものと認められる。

 

(現在)
+1)出光興産(株)
+2)日本合成ゴム(株)
+3)北海道大学名誉教授
+4)(社)全国石油協会

[対象論文] J. Jpn Petrol. Inst.,45,(3),135(2002).

 

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