技術進歩賞
省エネルギー油圧作動油の開発と各種油圧システムでの実用化
新日本石油株式会社殿
地球温暖化防止のため,二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの削減が世界規模で行われているなか,日本国内でも「エネルギーの使用の合理化に関する法律(通称,省エネ法)」が1998年に抜本的に改正され,省エネに対する取組みが強化されてきた。 このような情況のなかで,油圧作動油の性状改良による油圧システムの省エネ対策も解決すべき重要な技術課題の一つになっている。
本技術は,各種産業分野で広く使用されている油圧システムの省エネルギー化を目的に,基油,耐摩耗性添加剤および摩擦調整剤の三つを適切に組み合わせ, 新たな発想の省エネルギー油圧作動油を開発し,実用油圧システム(射出成形機,プレス機,アルミ押し出し機,工作機械,その他)において電力消費をかなり節約できることを検証し,既に実用に供せられている。 本油圧作動油の使用により,油圧設備を有する工場の省エネルギー化が促進されるばかりでなく,電力消費量の削減およびこれに伴う炭酸ガス排出量の大幅な削減も期待されるものである。
本開発技術の特長は以下の通りである。
- グループV基油(API分類)を油圧作動油に適用することで,ポンプしゅう動部のような高圧条件下のトラクション係数を低減し,大きな省エネ効果を達成した。
- 摩耗防止剤として単一分子内にSとPを含むSP系添加剤を選定することにより,耐摩耗性と耐スラッジ性に優れ,しかも省エネ性をバランスさせる作動油の配合技術を確立した。
- 上記のグループV基油とSP系添加剤に混合潤滑領域と境界潤滑領域での摩擦係数の低減に優れた無灰系摩擦調整剤を組み合わせることにより,より優れた省エネ効果を有する油圧作動油を開発した。
さらに,各種実用設備を対象に本油圧作動油を用いた実証試験を実施し,従来のZn系油圧作動油および芳香族リン酸エステルを用いた非Zn系油圧作動油に比べて,平均で4〜12%もの非常に大きな省電力効果が得られることも検証している。 本技術により開発された新規省エネ油圧作動油は改正省エネ法による指定工場のエネルギー原単位削減に大きく寄与し,市場も着実に拡大している。
油圧作動油からの省エネ化はこれまでも種々検討されてきたが,従来の技術は作動油の低粘度化による省エネ化であり,その適用は限定されていた。 新日本石油(株)により開発された本技術は新たな発想により開発されたものであり,今後ますます重要となるエネルギー消費の削減に油圧作動油の面から大きく貢献するとともに,他の潤滑油への水平展開も期待できる。よって,本会表彰規程第9条に該当すると認められる。
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