【奨励賞】(出光興産賞)(学術部門)
均一・不均一系触媒反応におけるin situ/operando分光法の開発と応用
山本 旭 殿(近畿大学理工学部応用化学科 講師)
山本氏は,均一および不均一系の触媒反応に対してin situ/operando分光技術を活用した反応機構解析とその発展的な利用法の開拓に顕著な成果を挙げてきた。特に,反応機構や活性支配因子を明らかにするために,目的に応じた分光分析系の構築,新規分析セルの開発および新規解析手法の提案を実施し,優れた業績を挙げた。
山本氏は,均一系触媒反応においては,時分割X線吸収分光により,触媒反応の鍵となる不安定な金属錯体の反応条件下での構造および電子状態を明らかにし,それら不安定種の挙動を追跡することで反応機構に対する提案を行った。不均一系触媒反応では,波長分散型X線吸収分光により,光照射下での金属ナノ粒子の温度をミリ秒オーダーの高時間分解能で計測することに成功した。解析方法にかかる負担を大幅に軽減することのできる新規温度指標を提案し,これを導入することで簡便かつ高速な温度評価手法を実現した。さらに,この方法を発展させ,触媒反応中の非接触温度計測が可能であることを実証した。これにより,外部から測定した温度が実反応中の温度としばしば異なるという問題を解消することができた。
上記の業績に加えて,山本氏はX線吸収分光測定による金属ナノ粒子の分析を行い,X線吸収スペクトルの変化量を指標とすることで,水素ガス流通下での吸着等温線を測定し,金属ナノ粒子上の吸着水素量が定量可能であることを示した。中性子や紫外,可視,赤外光の多岐に渡ったプローブを利用した触媒,光触媒材料のin situ/operando分析から表面吸着種を同定し,反応生成物との対応から反応経路を特定することで,反応機構を解明した。
以上の山本氏の業績は,in situ/operando分光技術の触媒研究への新規適用法を切り開くものであり,今後の多様な触媒反応系への適用に大きく貢献するものである。よって,同氏の業績は本会表彰規程第12条1項に該当するものと認められる。
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